デンタルニュース
歯式のはなし
歯科検診を受けた時、なにか謎の暗号のように聞こえたことはありませんか?あれはなんと言っているのですか?と聞かれることがあります。
歯科医院などでドクターが読み上げるお口の中の様子を表すものを、歯式(ししき)と言います。歯には歯牙番号というのがあり、大人は10番台から40番台、乳歯は50番台から80番台でそれぞれを表すことがあります。
また親知らずを含めて32本を1-32までの数字で表したり、上下左右を4ブロックに分け1-8まで分類するもの、2ブロックに分けるもの、乳歯をアルファベットで呼ぶものなど様々です。海外でも国によりいろいろな方式が採用されているのも面白いです。
学校や企業などの検診では歯をドクターがチェックしながら、アシスタントを務める主に歯科衛生士が記入していきます。
残存する歯の本数(現在歯数)や虫歯の程度、被せ物の形態や本数、親知らずの状態などを主に記録していきます。お馴染みなものとしては⚪︎や×、斜線といった記号です。これは一般的なものなので、検診機関や歯科医院によっても異なりますが、治療済みの歯を◯で表したり、抜歯した部分を×で表したりします。
健全な歯は斜線とか棒線で表されたり、カルテ上は何も記入しないことが多いです。虫歯をカリエスのCで表すことが多く、またその深度を1-4で表します。C1とかC2という表現は今や多くの人が知っていることかもしれません。
今後虫歯になりそうな可能性のある歯をC0で表したりすることもあります。
金属やセラミックなどの詰め物、被せ物が入っている歯は治療済みとして◯で表したり、その形状として詰め物をインレー、アンレーなどと細かく分類したり、被せ物はクラウン、ブリッジと記入したりします。それら補綴物(ほてつぶつ)を素材で分類することもありますが、それは検診より歯科医院で細かく表現されることが多いです。
お口の中をこのようにじっくりと見る機会があると、案外お口の中に乳歯が残っている方が少なくないことに気づきます。
そんなときは突然アルファベットでEなどと聞こえることがあるかもしれません。
乳歯は根の短さやもともとの用途を考えても寿命は長くなく、大人の歯に比べて虫歯になりやすいのですが、問題のない場所、生え方であれば大切に使ってもらうことが多いです。
よく診療台=ユニットに上るとまな板の上の鯉です、と言ってぎゅっと目を瞑って治療が終わるのをひたすら待っている方もいらっしゃいます。でも予防治療が主流になっているこの時代、ちょっと耳を傾けてみると鏡ではなかなか見ることの難しい、ご自分の歯の様子をうかがい知ることができるかもしれません。