2019-02
歯周病と全身疾患
お口の中の病気は大きく分けて虫歯と歯周病がありますね。
どちらも避けられたら、と歯磨きを頑張ったり、予防歯科などという言葉に興味を持って通院をされる方も増えてきました。
以前は歯槽膿漏と呼ばれていた歯周病ですが、あごの骨を溶かすだけでなく、体のさまざまな疾患と大きな関係があることが昨今わかってきました。
よく高齢の方の入院時に、入れ歯をお預かりしてしまうことで食事や会話が円滑にできなくなり、急速に動作の衰えが生じてしまうことがあります。
また口内環境の悪化により肺炎などの原因にもなり得ることから、少しずつ口腔ケアという分野も拡大されてきました。
そういったことからもすべての年代の方において口の健康、噛むことの大切さなどお口の中の環境が全身と関わっていることが叫ばれてきています。
身体の病気と関わりがあるといわれているのは主に歯周病の原因菌です。
歯周病菌は具体的に脳血栓や脳梗塞、心筋梗塞や糖尿病などと密接な関係があるようです。
血液を凝固させやすく血のかたまりがつくられやすいとか、血管を硬くする等の報告があり、糖尿病においては相互に悪化の相関性があるとされています。歯ぐきの様子が悪いと糖尿病が悪化しやすく、糖尿病はまた、歯ぐきに炎症を引き起こす要因となる、というように切っては切れない関係があるのです。
また妊婦さんに関しては喫煙リスク以上に子宮収縮の心配があり、早産や低体重児出産のリスクを促す関係があることが言われています。
また女性ホルモンにより歯茎に炎症を及ぼすため、お口のケアが切り離せない重要な時期だとも言えます。
お口は体内へ繋がる大事な入り口です。
健康のために良いと言われるサプリを購入して飲みながら、お口の中で歯周病菌を増やしていては全く意味がないですよね。
つまようじの先端にわずかに付着するお口の汚れのなかは、数億の細菌がいるといわれています。
正しい歯磨きが細菌の数を減らすためにいかに効果があるかイメージしやすいでしょう。時々歯科医院で行うクリーニングも汚れの絶対数を確実に減少させるチャンスになります。
その方、その時期にあった正しい歯磨きを歯科医または歯科衛生士に教わるといいですね。
お口の中がさっぱりするだけでなく、健康につながるケアなのだとわかれば価値のある機会だといえます。
虫歯や歯周病など、お口に限られた病気だけに注意するのではなく、その病は体全体につながっていく器官だと意識してお掃除をしていけると良いですね。
これからの時代は、お口の環境コントロールが全身疾患の治療の一つになっていくのだといえるかもしれません。