2022-11
歯周病は糖尿病の合併症?
糖尿病とはどんな病気?
糖尿病は、血糖値を下げる働きをする「インスリン」というホルモンの分泌が少なくなったり、作用が低下したりすることで血糖値が高くなる病気です。
高血糖状態が慢性化、長期化することで血管が傷つき、将来的に心臓病や、失明、腎不全、足の切断といった、より重い病気(糖尿病の慢性合併症)につながる恐れがあります。
また、著しく高い血糖は、それだけで昏睡(こんすい)などをおこすことがあります。
糖尿病には1型と2型があり、遺伝でかかりやすい体質や、免疫の異常で発症するケース、別の病気や薬が原因で発症するケース、食べ過ぎや生活習慣から発症するケースなど、かかる原因は様々です。特に、生活習慣が原因でかかる2型糖尿病は全体の9割以上を占め、近年増加の一途をたどっています。
なんと日本人の5~6人に1人が糖尿病か、その予備群と言われています。
糖尿病と歯周病の関係
「歯周病は糖尿病の第6番目の合併症」と言われています。
このふたつの病気にはどのような関係があるのでしょうか?
歯周病は、歯肉(歯ぐき)や歯槽骨(骨)など歯を支える歯周組織が、細菌による炎症で破壊されて歯を失っていく病気です。
日本人の約80%の方がかかっているとされます。
歯周病になった歯周ポケットの中は見えませんが、歯磨きで出血するとき、炎症の大きさは手のひらくらいのサイズになっています。
この大きな傷口が手当されずに露出し、出血や膿が治療なしで放置され、歯周病菌が血液を介して体に流れ込んでいく、と聞くと深刻さがイメージできると思います。
血管から歯周病菌が流れ込むと、血液内に炎症性サイトカインという物質が増え、インスリンの働きを悪くし、糖尿病の血糖コントロールが難しくなって糖尿病を発症します。
歯周病は糖尿病だけでなく、多くの疾病を引き起こす怖い病気です。
糖尿病の患者さんは、細菌に対する抵抗力や組織の修復力が低下し、口腔内の乾燥等が生じるので、歯周病になりやすく悪化しやすくなります。
このため、糖尿病の患者さんが歯周病になると、どちらの病気も悪化していくという負のスパイラルが起きてしまいます。
糖尿病予防はお口から!
糖尿病も歯周病も、初期は自覚症状がないため、放置してしまうことで進行します。
歯周病の予防には、かかりつけの歯科医院をもち定期的に通院することが大切です。
また、糖尿病の予防には、毎年健康診断を受けて血糖値をチェックし早期発見に努めることが大切です。
糖尿病で歯周病を発症している場合は、歯周病の治療で糖尿病が改善することが知られていますので、できるだけ早く治療を開始しましょう。